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からだの痛みやこわばりをやわらげるための温泉療法のススメ


関節リウマチの治療における温泉療法の役割

関節リウマチのリハビリ療法に含まれる治療法の1つに温泉療法があります。温泉は1000年以上も前から日本人にとって身近な存在で、様々な病気や症状に効能があるため特に江戸時代になって湯治の文化が広まりました。

我が国の温泉には10種類の泉質があり、どの泉質の適応症にも関節リウマチや膠原病の関節や筋肉の痛みやこわばりなどの症状や手足の末端の冷え、だるさなどが含まれています(表9)。実際に、関節リウマチなどの関節の病気の患者さんに温泉療法を行うと痛みが著明に改善することが報告されています。また、関節リウマチの患者さんの治療に温泉療法を継続して組み入れることで、薬物療法を補完し身体機能の障害を回復することも示されています。

浜松市内の舘山寺温泉の泉質はナトリウム・カルシウム-塩化物強塩温泉で、一般的適応症には関節リウマチによる筋肉、もしくは関節の慢性的な痛み、または、こわばりが含まれています。
2013年のテレビ番組で、舘山寺温泉は日本の温泉100選の中で、全国第3位の塩分濃度の高さにより、関節痛の改善につながる塩化物泉として紹介されました。
2023年から私が『浜名湖かんざんじ温泉 そぞろ歩きまっぷ』で、皆さんに舘山寺温泉の効能を紹介しています。

浜名湖かんざんじ温泉 そぞろ歩きまっぷ

温泉作用のしくみ

温熱効果による鎮痛作用、末梢循環改善作用、関節硬直の防止とコラーゲン柔軟化による関節可動域の改善、筋肉の機能回復、下垂体副腎皮質の反応性改善、自律神経調節機能の回復など様々な作用があげられます

温泉療法の適応

慢性期で全身症状がなく、炎症が極端に強くない時期がよいです。急性期、発熱、やせ、衰弱などの症状がある場合や、感染症、出血性消化性潰瘍、膵炎、狭心症、頭痛などの疾患を合併する場合の多くは禁忌です。

泉質

どの泉質も関節リウマチに効能がありますが(表9)、特に温熱作用の強い塩化物泉、硫酸塩泉、末梢循環改善作用の強い二酸化炭素泉、副腎皮質刺激作用の強い放射能泉、代謝改善作用の強い硫黄泉が関節リウマチに良い温泉とされています。

入浴法

39〜40℃程度のぬるま湯の10〜20分間良くする微温長時間浴とし、入浴後は30〜60分間保温に注意して臥床安静するのが望ましいです。また、1日の入浴回数は、最初1-2回から始め、慣れるにしたがって2-3回と増していきますが多くても3回までとします。心身の正常化のために湯治の治療期間は少なくとも3週間は必要とされています。家庭での入浴剤を用いた入浴も同様な効果が得られると考えられます。

(表9: どの泉質も関節リウマチや膠原病の症状に有効)
*『あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは』より作成

引用文献

1. 新入浴・温泉療法マニュアル(日本温泉気候物理医学会編), JTB印刷株式会社, 東京,2007
2. 新温泉医学(日本温泉気候物理医学会編),JTB印刷株式会社, 東京, 2004
3. あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは, 日本温泉気候物理医学会, 環境省ホームページ; http://www.env.go.jp/nature/onsen/docs/kyokucho.pdf
4. 浜名湖かんざんじ温泉ホームページ; https://www.kanzanji.gr.jp
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