血管造影検査
血管造影とは
血管は一般に周囲組織との間に密度の差がほとんど無く、単純X線撮影で写すことはできません。血管撮影検査は、血管と他の臓器との間にX線の吸収差をつけるため造影剤を注入して撮影を行います。血管の形態、血流状態を連続的に撮影することにより、動脈あるいは静脈の病変を診断する検査法です。血管造影検査は放射線を用いるため、専用の検査室で行われます。当院は心臓血管専用装置・頭部と躯幹部血管装置の2台が毎日稼働しております。大腿動脈、あるいは腕の動脈に針を刺し、カテーテルと呼ばれる直径数2mm、長さが50~100cmの管を血管内に挿入します。そのカテーテルの先を目的の血管まで送り、選択的に特定の血管のみに造影剤を注入して撮影を行う選択的血管造影が一般に行われています。また近年、診断のみでなく血管の狭窄部位を拡げる血管拡張術、腫瘤を栄養する動脈を人為的に閉塞させる動脈閉塞術など、血管内治療が主流になってきています。
心血管造影室
X線管球2台(バイプレーン)を用い同時に多角度撮影が可能です。心血管の治療および不整脈治療が迅速で、造影剤使用量も飛躍的に少なくできます。
Trinias(島津製作所製) 2024年1月設置
Artis Q BA Twin(SIEMENS社製) 2015年2月設置
心臓血管検査及び治療
冠動脈(心臓を支配する血管)は左冠動脈と右冠動脈に枝分かれしています。左冠動脈はさらに前下行枝と回旋枝に分かれており、この2本と右冠動脈を合わせた3本が主要な冠動脈となっています。心筋に酸素と栄養素を送る冠動脈の内部が極端に狭くなって血流が悪くなり、血液が固まって血栓ができたり、他の場所でできた血栓が冠動脈に詰まると血流が完全に途絶えてしまいます。冠動脈の詰まった先の心筋には血液が流れないため、酸素欠乏や栄養不足になった心筋細胞が次々と壊死していきます。心臓血管検査は直径1.5~2mmという細いカテーテルを挿入し冠動脈の狭窄を診断、治療します。
冠動脈造影で行われる治療
カテーテルを用いた冠動脈血管形成術は、カテーテルで病変部位に治療器具を進め、病変部の血管を広げたり形成したりする治療です。冠動脈血管形成術には、以下のようなものがありますが、バルーンとステントによる治療が中心となっています。ときに、ローターブレーターやDCAなどが行なわれることもあります。
主な治療手技
- PCI(経皮的冠状動脈形成術):狭窄し細くなったところを風船でふくらませる手法、一般にバルーン(風船)療法といわれていますが、患者さんの苦痛も少なく非常に有効な治療法で、日本を含め世界的に多数行われています。
- ステント治療:狭窄部位にステント(金属でできた網状の筒)を留置し、血管を拡張させる手法です
- ローターブレーター:硬い動脈硬化病変に対してドリルを用いて削り取る方法です。
- 不整脈アブレーション治療:カテーテルにより、不整脈の原因となる電気回路を遮断する治療法です。
※被ばく線量の低減を実施
当院では被ばくを可能な限り少なくする事を目的にX線撮影線量を医師と協議、全国的にみても非常に少ない線量で検査および治療を行っております。
当院では被ばくを可能な限り少なくする事を目的にX線撮影線量を医師と協議、全国的にみても非常に少ない線量で検査および治療を行っております。
ハイブリッドER/頭部・腹部血管撮影装置
Nexaris Angio-CT(SIEMENS社製) 2024年1月設置
ハイブリッドERは救急外来にて、IVR-CT(アンギオとCTを組み合わせた装置)を設置し寝台を初療ベッドとして備えた救急初療室のことで、搬入患者の診断と治療を同時並行で行うシステムです。他にも頭部・胸部・腹部・骨盤・四肢領域の診断検査、治療に使用します
頭頚部血管造影及び治療
頭部の動脈、静脈、毛細血管の様子を観察する検査です。脳出血の部位の決定や、脳腫瘍の位置などが特定できます。肘動脈から造影剤を注入する方法と、股のつけ根の大腿動脈からカテーテルを挿入し、頸動脈のあたりまで進め、造影剤を注入して検査する2種類の方法があります。脳動脈瘤、脳動静脈奇形、くも膜下出血、脳腫瘍、脳梗塞、脳出血などの診断・治療などに行われます。
主な治療手技
- 脳血管形成術(頭頚部動脈狭窄部を風船で膨らませる治療)
- 脳動脈瘤コイル塞栓術(脳動脈瘤を柔軟な糸状の金属で詰めることで破裂を防ぐ治療)
- 脳血栓回収術(脳動脈にある血栓を除去する治療)
腹部血管造影検査及び治療
腫瘍部位・周囲の血管形状(拡張、肥大、圧迫、伸展、狭窄、硬化、消失等)、血流(動脈相、毛細管相、静脈相)を観察し所見を得る。近年、血管内治療(インターベンショナル)が主流となっています。
主な治療方法
- TACE(肝動脈化学塞栓療法)
血管造影の手技を用いて、肝臓がんなど腫瘍の動脈血管に1mm以下の細いカテーテルを挿入し、そこから腫瘍の栄養血管を塞栓させる薬剤を注入する治療法
※塞栓(血管を詰まらせる)物質を入れて血流を止め、がん組織の栄養補給路を遮断しがん組織を縮小させます。 - TAI(経カテーテル動注化学療法)
抗がん剤を注入する治療も同様の手技で行います。
四肢血管造影検査及び治療
閉塞性動脈硬化症に対して、カテーテルを用いた診断やバルーン拡張術、ステント留置術などの血管内治療に取り組んでいます。
主な治療手技
血管形成術(動脈・静脈狭窄部に対する風船・ステントで膨らませる治療)
ハイブリッドOR
ハイブリッドORとは手術台と心・血管X線撮影装置を組み合わせた高画質な透視・3D撮影を行うことができる手術室のことをいいます。
Azurion7 C20 FlexArm (Philips社製) 2024年4月設置
主な治療手技
1. ステントグラフト内挿術:ステントグラフトとはステントといわれる針金状の金属を編んだ金網(ステント)を縫い合わせたものをグラフトと言われる人工血管で覆ったものです。これを血管の中に留置することで直接的に瘤に血圧がかからないようになり、破裂の予防を行うことができます。
2. 経皮的シャント拡張術:狭くなっていたり、途中で詰まっていたりしているシャント血管に対して風船のついたカテーテルを入れ、血管の狭くなっている部分や詰まっている部分で風船をふくらませて血管を広げる手術です。
3. 四肢血管造影及び治療:閉塞性動脈硬化症に対して、カテーテルを用いた診断やバルーン拡張術、ステント留置術などの血管内治療を行います。
4. 脊椎固定術:脊椎固定術治療とは、問題のある脊椎の上下の脊椎を金属のボルトと棒などを使って固定することで安定をはかる手術です。
2. 経皮的シャント拡張術:狭くなっていたり、途中で詰まっていたりしているシャント血管に対して風船のついたカテーテルを入れ、血管の狭くなっている部分や詰まっている部分で風船をふくらませて血管を広げる手術です。
3. 四肢血管造影及び治療:閉塞性動脈硬化症に対して、カテーテルを用いた診断やバルーン拡張術、ステント留置術などの血管内治療を行います。
4. 脊椎固定術:脊椎固定術治療とは、問題のある脊椎の上下の脊椎を金属のボルトと棒などを使って固定することで安定をはかる手術です。