小腸内視鏡検査について
小腸疾患は多くはありませんが、原因不明の消化管出血の原因となる血管性病変、クローン病や薬物による潰瘍などの炎症性病変、癌や悪性リンパ腫のような腫瘍性病変などを認めることがあります。しかし小腸は口や肛門から遠くしかも6m程もある長い臓器で以前は診断が困難でした。最近は小腸内視鏡の進歩に伴って小腸疾患の診断や内視鏡的治療も可能となってきました。当院では小腸カプセル内視鏡と小腸シングルバルーン内視鏡を行っています。
小腸カプセル内視鏡検査
超小型カメラを内蔵した長さ3㎝程のカプセルを口から飲み込むだけの内視鏡検査です。カプセルは消化管を通過しながら画像を撮影し、画像を記録装置に転送します。
小腸カプセル内視鏡本体
レコーダーの装着
検査は通常外来で行います。朝9時に内視鏡室にてレコーダーを装着してカプセルを内服し、夕方4時頃に装置を外します。その間は外出も可能です。記録された画像を後日医師が解析していきます。カプセル内視鏡は侵襲の少ない検査ですが、観察のみの検査となります。
潰瘍(クローン病)
出血(血管性病変)
小腸シングルバルーン内視鏡検査
小腸シングルバルーン内視鏡本体
長さ2m程の長いスコープとバルーン(風船)のついたオーバーチューブを組み合わせて、長い小腸を折りたたむように短縮しながら奥に挿入していきます。経口的または経肛門的に挿入して全小腸を観察することも可能です。
検査は通常入院をして行います。検査時間は個人差がありますが通常1、2時間程かかります。小腸シングルバルーン内視鏡検査は観察だけでなく、組織生検による診断や止血術・ポリープ切除などの治療も行うことがあります。
小腸の血管性病変からの出血がみられる
内視鏡的焼灼により止血術を行った