乳がんと遺伝
遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)
乳がんの5~10%は、遺伝要因が強く関係して発症する遺伝性腫瘍と言われています。そのうちの1つが、遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC)です。HBOCでは、若い年齢での乳がんの発症、両方の乳房での乳がん発症、乳がんと卵巣がんの両方の発症、複数の血縁者での乳がんや卵巣がんの家族歴などが見られることがあります。この疾患に関与しているBRCA1/2遺伝子を調べることで診断することができます。
BRCA1/2遺伝子検査
BRCA1/2遺伝子検査は、採血をして、血液からDNAを抽出して検査を行います。2020年4月から乳がんまたは卵巣がんを既に発症した方のうち、以下のいずれかの項目に当てはまる方が保険適応の対象となりました。
- 45歳以下で乳がんを発症
- 60歳以下でトリプルネガティブ乳がんを発症
- 2個以上の原発性乳がんを発症
- 第3度近親者内に乳がんまたは卵巣がん発症者がいる
- 男性乳がんを発症
- 卵巣がん、卵管がん、腹膜がんを発症
リスク低減手術
2020年4月から乳がんを発症した方で、BRCA1/2遺伝子検査でHBOCと診断された方に対して、乳がんまたは卵巣がんの発症リスクおよび死亡リスク低下を目的としたリスク低減対側乳房切除術、リスク低減卵管・卵巣切除術が保険的適応となりました。